最近では「高断熱高気密住宅」や「住宅の性能」という言葉が一般にも広まり、住まいを選ぶ上で“断熱”や“気密”の重要性に関心を持つ方が増えてきました。

そんな中で、私のもとに1本の電話が入りました。以前私が勤めていた住宅会社で、大工工事を請け負っていたS建築さんからの連絡でした。

「会社の施工マニュアルに沿って気密処理をしているが、実際に自分が施工した家の“気密性能”がどれほどのレベルなのか確認したい。気密測定をお願いできないか?」という相談でした。

よくよく聞いてみると、その会社では気密測定を行っていないとのこと。
S建築さんは、会社の同意を得た上で、自費で気密測定を依頼したいという熱意を持って連絡をくれたのです。

測定の結果、C値は「0.54㎠/㎡」という数値が出ました。
これは高いレベルの気密性能であり、しっかりとした気密処理ができている証拠です。

S建築さんはとても満足した様子でした。

昨年あたりから、住宅の性能競争や数値の見える化等で気密測定を実施する会社が大手住宅会社を含め大幅に増えています。住宅の高断熱化が進む中、本来あるべき形に近づくいい傾向だと思います。

私は、気密測定を行う際には、施工する大工さんに同席してもらうことをおすすめしています。

実際に自分が仕上げた家のC値がどの程度か、その場で結果を“見て、知る”ことができることは、大工さんにとって大きな学びになります。そして何より、自分の技術が数値で証明されるということが、誇りやモチベーションにつながるのです。

施工品質の安定や技術の向上という意味でも、現場に立つ職人さんこそが「気密の重要性」を深く理解し、肌で体感することが大切だと私は考えています。

私たち住まい・環境プランニングでは、高断熱高気密住宅の構造見学会や気密測定体験会を定期的に開催しています。

参加されるお客様は、住宅の性能に関心を持ち、「なぜ高断熱高気密が必要なのか」「C値とは何か」「自分たちの家づくりにどう活かせるのか」といったことを、真剣に学びに来られます。

現場での気密測定を“体感”することで、「数値で裏付けされた性能」の意味を実感していただき、安心して家づくりに進んでいただけると考えています。 しかし、それを“数値”で証明し、“体感”で伝えることができるのが、本物の高断熱高気密住宅だと私たちは考えています。