岩手・安比高原の高断熱高気密住宅を体感できる宿「シュークリアプール」での視察は、私にとって省エネ住宅の本質を学ぶ貴重な機会となりました。
夜の楽しい食事会では、オーナーの「冷えたビールが格別に美味しくなるほど、建物が快適なんですよ」という言葉通り、室内は暖かく、まさに“質の高い快適性”を体感しました。
その晩は、営業課長のNさんと同室。Nさんの“いびき”を避けるため、私は早めに入浴することに。
お風呂にお湯を張り、沸き上がりを確認しに行くと、鏡がまったく曇っていないことに気づきました。これは高断熱高気密住宅に住んでいてもなかなか経験できないことで、驚きを隠せませんでした。
翌日、オーナーにその理由を伺ったところ、
「換気量を適切に確保しつつ、鏡の表面温度が露点にならないように室温を設定している」
との説明がありました。つまり、室内の温度・湿度を高精度にコントロールしているということです。これはまさに高断熱高気密住宅の省エネ性能と快適性が両立している証拠です。
さらに驚いたのは、「シュークリアプール」には地下室があるにもかかわらず、湿気やカビがまったくないという点です。
「地中に面する基礎の外周部には水はけ対策を徹底し、計画換気と地中温度より高い室温設定によって、地下室の環境も1年中安定している」
というオーナーの説明に、私は30年以上前からこのような先進的な住環境設計がなされていたことに、ただただ感銘を受けました。
今回の宿泊体験を通して、私が得たのは「快適な住宅」とは単に暖かい・寒くないという表面的な話ではなく、目に見えない“質”をどう設計に組み込むかという深い学びでした。
温度差のない空間、曇らない浴室、湿気がこもらない地下室——これらすべてが、高断熱高気密住宅の“真の省エネ性能”と“快適性”の象徴です。
私たち「住まい・環境プランニング」の家づくりにおけるコンセプト、快適さには「質」がある
という考え方は、まさにこの体験が原点となっています。