高断熱高気密住宅の本質的な「快適性」を学ぶために訪れた岩手県。モデルハウス視察を終えた私たちは、安比高原にある小さな宿「シュークリアプール」へと向かいました。
この宿は、一級建築士でもあるオーナーが自ら設計・経営されているプチホテルです。寒冷地にふさわしい断熱性能を備えた建物で、まさに住まいとしての快適性を体験できる宿泊先でした。
到着したのは夜の19時30分。すでに他の宿泊客は食事を終えられて、食堂はまるで貸し切り状態。オーナーから、「はるばる富山からようこそ。この建物は、暖かく快適に過ごせるように創ってあります。ここでは、冷たいビールが最高に美味しいので、飲み過ぎには注意してくださいね!」と歓迎の言葉がありました。
その言葉通り、心地よい住環境の中で楽しい食事会が始まりました。
食事の途中、ふと外の温度計を見ると、外気温は−10℃。ところが室内は23℃と安定した快適な空間です。
この快適性の理由を知りたくなり、暖房設備のPSパネルヒーターに触れてみると、なんと冷たくなっていました。驚いてオーナーに尋ねたところ、次のような説明がありました。
「このパネルヒーターには、サーモバルブがついており、室温が設定温度(22℃)に達するとバルブは自動で閉じるようになっています。室内には調理中の熱や人の体温など、“内部取得熱”があり、それだけで室温が上がるため、暖房が必要なくなっている状態なんです。室温が設定温度より下がってくるとバルブが自動で開き放熱を始めます。」
安比高原のような寒冷地でも、建物の性能と内部熱取得をうまく活かせば、省エネかつ心地よい室内環境が実現できるという、まさに快適さの質”を体感できる良い機会となりました。
次回は、浴室と地下室で実感した体験についてお話しです。